教育講話記録 教育実習に臨むに際して
(1) 子供たちを愛すべし
(2) 心のコントロールをせよ
(3) 情熱的であれ、そして正直であれ
(4) 感謝の気持ちで実習を
(5) タイムマネージメントを
(6) 真理を語るに無限の切り口がある
(7) チャレンジ精神で
(1) 子供たちを愛すべし
つねに「自分は、子供たちをよくしたいのだ。良い方向に導きたいのだ」と念い続けることです。
気の会う生徒もいるでしょうし、そうでない生徒もいるでしょう。これら誰彼となく、区別することなく、全員を愛そうとすることです。包み込もうとすることです。
たとえ、立ち向かい、また過てる考えをしていたとしても、相手の仏性を見ようとすることです。
その念いを持ち続けていれば、必ず悟りの薫りは伝わります。今、分からなくてもよい。
あの時、教育実習できた先生の気持ちは、きっとこうだったのだ…と何年後、何十年後に気づくこともあるのです。
人は等しく光り輝く性質、ダイヤモンドの原石を持っています。そして必ずや、正しさと向上の匂いを知っているのです。
サケが自ら生まれた川に遡上するように、その薫りを頼りとして、いつか目覚めるときが必ず来る、と信じて、子供たちと接することです。
その愛とは、ある時は包み込む愛であり、ある時は教導の峻厳なる愛です。優しさと、間違いを正さない勇気なき心を混同させないことです。
(2) 心のコントロールをせよ
「立ち向かう人の心は鏡なり」という言葉があります。反発であれ、試しであれ、自分に対して向けられた態度や行動は、必ず自分自身の心が呼び込んでいるものなのです。
その呼び込んでいるものとは、自分自身の心の波立ちです。緊張することもありましょう。動揺することもありましょう。
それ以外にも感情が揺れることもありましょう。しかし、そうした心の波立ちは、極力抑えようと努めることです。
鏡の如き湖面とはいかないかも知れませんが、平らかに心を保ち、たとえ、その水面に石が投げ込まれたとしても、その石を大きく見過ぎないことです。
それは、ほんの小石かも知れない、ただの葉っぱかも知れません。
心のコントロールは、いついかなる時でも訓練できます。訓練すればするほどに精度がよくなってゆきます。
通勤の電車やバスの中でも、そのコントロールはできます。もちろん、教室をはじめとする学校現場で行うことは言うまでもありません。
何を言われても、何が起こっても、心揺らさず、瞬時に切り返せる、そうした訓練ができるのが、子供たちとの会話です。
(3) 情熱的であれ、そして正直であれ
一般論として、はっきり言えば、教育実習生が上手な授業ができるわけはないのです。
初めて教壇に立ち、子供たちを前にして、堂々と、または的確に、長く努めている現場の先生方と同じか、それ以上に授業ができることはあり得ないことなのです。会社で言えば、新人研修のようなものです。
そのなかで、唯一現場の先生方に勝ることができるとすれば、「情熱」でしょう。若さゆえの、年齢が子供たちと近いゆえの、熱く語る「情熱」です。
この「情熱」を大切にしてください。一生懸命、全身全霊で、子供たちに向かってください。その気持ちは必ず伝わります。一生懸命さ、真剣さは必ず伝わってゆくのです。
そのときに、「正直である」ことを失ってはなりません。
先生の一生懸命さは分かった、それでは…と次に、子供たちは、先生を試そうとするのです。
揺さぶりをかけてくるのです。それは意識的であることもあれば、先生との接点を持ちたいがための、無意識的であることもあります。
その時に、分からないことがあったとしても、絶対に誤魔化さないことです。知らないことは、知らない、と正直に答え、学ぼうとすることです。
教師は、生徒からも学ぼうという姿勢を常に持ち続けることが大切です。自らの周りに起こる事がらは、すべて学びの種であり、師であります。
(4) 感謝の気持ちで実習を
教育実習は、学校にとってはお荷物であることには違いありません。後継者の育成としての大切な場であることは、重々承知していながらも、学校、現場にとっては迷惑であるのです。
何週間にもおよび、子供たちと接し、それは、彼ら実習生はよい経験を積むことができるでありましょうが、実習が終わったのちの現場は、毎年そのフォローと立て直しに大わらわなのです。
そのことを考えれば、実習をさせて頂いていることに、常に感謝の気持ちを持ち続けることです。誠意ある対応、紳士的に振る舞うことです。
併せて、子供たちにも感謝することです。子供たちがいなければ、いくら教壇実習をしようとしてもできないのです。
毎日、毎日が、一時間、一時間が感謝の気持ち満ちあふれる状態で取り組んでください。
(5) タイムマネージメントを
実習中、できるだけ子供たちとの接点を作るためには、いろいろな放課後の活動にも顔を出すべきです。その時の子供たちの顔は、授業中とは違っておりましょう。
そのためには、タイムマネージメントをし、やるべき仕事は段取りよく終わらせてしまうことが大切です。家で教材研究しようと思っていて、飲みに誘われたりして、予定が狂うことだってあります。
他の実習生の二倍くらいの効率で仕事こなしてください。仕事は、同時並行でいくつもできます。そしてまた、一つことをあまり長くし続けると、効率が落ちます。
いずれにせよ、与えられた時間を最大限に使い、全力、最高の教育実習にしてください。
たった二週間か三週間です。その間、本来の自分とは自分を演じることだって可能なのです。
いろいろなことが試せます。そして、それがまた許される機会です。
(6) 真理を語るに無限の切り口がある
せっかくの機会だから、少しは真理を語りたいと思うでしょう。節度保って行うには、結構なことであろうと思います。
子供たちは実習生の話を求めています。どんな話をしてくれるのかを楽しみにしています。
その時に、決してお説教に聞こえないような、それでいて、心に自然に染み込んでいく、そんな真理を語ることを心掛けるとよいと思います。
その切り口は無限です。いくらでも語ることができます。あなた自身が考えたことも含めて、さまざまな話をしてあげるといいでしょう。
しかし、もちろん、第一に教科指導が中心であります。
(7) チャレンジ精神で
自分の得意、不得意で仕事を選り好みしないのが、教員の世界です。実習生であっても同じです。自分の不得意分野にも積極的に取り組むことを心がけてください。
何ができて、何ができないのか、何が得意で、何が不得意なのか、何が長所で、何が短所なのか…ということも実習期間を通して発見できるはずです。
そこに必ずや、明日の自分を導く種を発見することができるでしょう。